ワインと振動

ワインと振動

酵母は、振動に脆弱です。

ワインに限らず、中国の紹興酒や日本の泡盛といった繊細とは言い難いお酒ですら、瓶に入れて人の来ない振動が少ない地中に埋めて造ります。振動により酒石酸量やその他の有機酸が減少することがわかっています。この作用により粒子間の安定性が損なわれ、トゲトゲしい荒々しさを感じる、バラバラで纏まりのない味わいになってしまい、ワインの老化(熟成ではない)を進めてしまいます。また振動は澱を液体の中に舞い上がらせワインを濁らせます。人間も上質なリラックスした眠りにより、パフォーマンスを発揮したり、老化を抑制するなど様々な分野の研究でわかっています。ワインも同じなのです。

ぶどうは不滅な声明を得て、今は光沢を加える液体となり、飾り気のもない、酒樽に満たされた。やがて時間に磨かれて、バッカスの饌なえものとなるまでコントロールされた眠りにつき、無形の創造にふけるのである。韻きもない微妙な息遣い、名品となるまで闇を噛み繊細な完成を色付けながら、ワインは夜想曲の譜となるのだ。

曽根崎保太郎「ワインの眠り」

「ロングフレッシュ」の設計思想の一つは “美味しいワインのための穏やかな寝室” です。