冷蔵庫とは違う。「ロングフレッシュ」

冷蔵庫とは違う。「ロングフレッシュ」

冷蔵庫では寒すぎるワインの老化

低温保管は、ワインの老化原因になります。ワインは熱いところが苦手ですが、ただ冷やせば良いとゆうものでもありません。ワインは瓶の中でも生きていますので、いくらなんでも冷蔵庫では寒すぎて乾燥してしまうのです。

低温になると果実味、香りが劣化します。また寒さが続くと、水分の氷結や溶解が繰り返されることで結晶化が進みます。白ワインであれば酒石酸のキラキラした結晶化、若ワインであれば枯葉のような澱が短時間で生成され、本来の生き生きした味わいがなくなり老化(熟成ではない)してしまうのです。またワインを立てて保管すればコルク栓の乾燥が進みます。さらに冷蔵庫は他の食品から匂いも移ります。ワインに浸されたコルクは匂いが吸着しやすいことから、魚介類のような生臭いものと一緒に保管することは注意が必要です。

湿度温度
ロングフレッシュ70〜75%12〜15℃
冷蔵庫の冷蔵室10〜20%0〜3℃
冷蔵庫の野菜室20〜30%3〜7℃

せっかく手に入れた美味しいワインをベストな状態で味わうためには、温度12〜15℃、湿度70〜75%の適切な保管、そしてでお楽しみください。

冷蔵庫保管によるワインの変化についての実証実験・フィラディス実験シリーズより

実験概要

スパークリング、白、繊細な赤2種、ミディアム赤、しっかり赤2種の下記の7種類を用意し、3℃の冷蔵庫に1週間と3ヶ月の、2パターンの条件で保管しました。基準となる「ロングフレッシュ」での保管のワインに対して、冷蔵庫に保管したワインが、①飲めないほどに劣化しているかを判断し、②ワインの主要な要素(色調・香り・果実・酸・余韻)が変化したかを検証しました。

実験結果

①飲めないほどに劣化しているか

冷蔵庫の保管期間別にみていくと、いずれのタイプも1週間よりは3ヶ月保管の方がより大きな変化が見られました。特にミディアム赤のボルドー×3ヶ月冷蔵庫保管は、カベルネ・ソーヴィニョン特有のピーマン香がより強く感じられ、果実味の変化(欠如)が見られたり、アフターのタンニンもザラツキが目立つなど、様々な要素で明確な変化が感じられました。

②ワインの主要な要素(色調・香り・果実・酸・余韻)が変化したか

今回の実験で最も影響が見られたのが「果実味」でした。泡・白・赤の全タイプで変化が見受けられ、保管期間に比例して変化度合が大きくなっていきました。「酸」は味わいの構成として果実味に依存している傾向にありますので、果実のボリューム感が弱まった事で酸味がより目立つ結果になりました。

次に影響を受けやすかったのが「香り」です。白・赤ともに3ヶ月保管に変化が大きく、特に繊細な赤やミディアム赤では顕著に表れました。また、「余韻」も泡・白は苦味が増加するという意見が多く、赤はタンニンのザラつきが増加し、果実味とのバランスが崩れてしまう傾向にありました。

冷蔵庫保管によるワインの変化

〇→微妙な変化、△→大きな変化、×→商品価値が認められない変化

スパークリング ブレンド

変化の特徴「3ヶ月は果実味のふくらみがない」「痩せ細ったタイトな印象」「余韻の苦味が増す」

1週間①劣化1週間②変化3ヶ月①劣化3ヶ月②変化
×

白 シャルドネ

変化の特徴「果実味が弱い」「余韻の苦味が増す」「酸を強く感じる」

1週間①劣化1週間②変化3ヶ月①劣化3ヶ月②変化

フレッシュな赤 ピノ・ノワール

変化の特徴「果実味が弱い」「余韻が短くなりタンニンのざらつき」

1週間①劣化1週間②変化3ヶ月①劣化3ヶ月②変化

フレッシュな赤 モンテプルチアーノ

変化の特徴「香りが閉じてしまう」「酸を強く感じタイト」「果実味がなくなり短調」

1週間①劣化1週間②変化3ヶ月①劣化3ヶ月②変化
×

ミディアムな赤 メルロ

変化の特徴「果実味の欠如が著しい」「香りに青さが出てくる」「余韻にタンニンが強く残る」

1週間①劣化1週間②変化3ヶ月①劣化3ヶ月②変化
×

しっかり赤 カベルネ・ソーヴィニョン

変化の特徴「余韻のタンニンがざらつく」「老化傾向」」

1週間①劣化1週間②変化3ヶ月①劣化3ヶ月②変化

しっかり赤 メルロ

変化の特徴「微妙な変化、気にならないレベル」「バランスが崩れアルコール感が増す」

1週間①劣化1週間②変化3ヶ月①劣化3ヶ月②変化